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今月のひとこと(1月)

2015-01-01| テーマ :今月のひとこと |

あけましておめでとうございます!
昨年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

森林には、「美」があります。
森林の風景を眺め、「美しいな」と私たちが思う時、私たちは森林の造形美、色彩美、そして美的要素を感知し、そう思うのですね。
また、森を眺める時、過去の思い出を想起したり、物語を空想したり、擬人化をすることもあります。
ドイツの林学者ザリッシュ(Heinrich von Salisch:1846-1920)は、「森林美学(Forstaesthetik)」という林学体系の一部門を確立したと云われています。

「施業林において経済的な利益を追求することと美しい森林を造ることは基本的に調和する」「施業の誤りは、森林の美的な取り扱いによって防ぐことができる」と彼は考えていました。

そのドイツ林学に学んだ日本の新島善直、村山醸造の二人は、「森林美学とは、美学と森林の風景との関係、森林美と樹木の美的価値、森林美造成の技術的手段であり、森林に関する一切の美的活動を考究すること」と考え、ザリッシュのような施業林の美に限らず、天然林も含めた森林美に対象を広げ、考察しました。

現在では、「機能的にも優れている森林は、デザイン的にも優れている」と評されることもあります。

しかしながら、「美」というものはもともと主観的なものであるため、その美を「科学的」に取り扱うことには大きな困難がありますね。

「美しい」と一言で表現できる森林の中にも一つ一つその要素を考察してみると、色にはじまり、形、光、影、構成、高さ、太さ、多様性、奥行き、音、風、気温、湿度、水、生物群、そして石、土などの無生物にいたるまで、たくさんの要素があります。また、秩序と無秩序の組み合わせから成り立っているのが森林、ともいえます。

けれども、たとえ、科学的に最終的にとらえきることができなくても、やはり森林の美は厳然としてそこにあり、だからこそ絵画、写真、映画、小説、詩、俳句、音楽などに古来より人々はそれを表現してきたのですね。
そして何よりも、森づくりそのものが芸術、アートであるともいえます。

今年はぜひ森林の美を心身でかんがえる一年にしたいと思っております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

日本森林保健学会 事務局

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