新着情報:今月のひとこと 一覧
ぼちぼち森林に行ってみませんか?
5月31日(土)新宿の会場にて、対面とオンラインのハイブリッド開催で公開セミナーが開催されました。今回のテーマは、「ぼちぼち森林に行ってみませんか! ~障がい者・高齢者のための森林空間利用最前線 ~」。
日本森林保健学会は、日本森林林業振興会より2期6年間にわたって研究助成を受け、活動をしてまいりました。その報告会でもありました。
公開セミナーの当日の内容は、下記の通りです。
報告Ⅰ 上原 巌(東京農業大学教授)
障がい者・高齢者の森林空間利用の事例(1)
~高齢者介護・障がい者福祉施設、特別支援学級の事例報告~
報告Ⅱ 竹内啓恵(樹づ木合同会社 代表社員)
障がい者・高齢者の森林空間利用の事例(2)
~健康づくりを目的とした森林活用に初めて取り組む事例報告~
報告Ⅲ 高山範理((国研)森林研究・整備機構森林総合研究所 森林管理研究領域チーム長)
障がい者・高齢者の情報行動 ~森林空間利用の情報を届けるには~
報告Ⅳ 古賀和子(一般社団法人全国森林レクリエーション協会研究員)
障がい者福祉・高齢者介護施設利用者の森林空間の利用状況
~アンケート調査結果より 「やらない理由」から見えてくるもの~
報告Ⅴ 住友和弘(東北医科薬科大学若林病院総合診療科病院教授)
森林空間利用による健康づくりの有効性 ~森林空間内の揮発性物質について
そして、翌日の6月1日(日)は、埼玉県飯能市の山林で、都内の社会福祉法人の皆様との森林療法のワークショップが開催されました。
- 飯能市でのワークショップの様子
- 小学生との活動
- 芳香水の製作
内容は、小径ヒノキの間伐、剥皮、コースターづくり、ピザづくり、芳香水の製作です。
また、小学生との活動を今年もおこなっていますが、森林療法は、身近な森林でどなたにもできるものです。
ぜひ身近な方と出かけてみてください。
今月末は、大分県別府市にて、本年度の学術総会が開催されます!
都会のシークレット・ガーデン
今年の連休、いかがお過ごしでしょうか?
わたしは、今春3月にオープンし、今月10日(土)にお話会と散策会をおこなう、東京・世田谷の桜新町にあるブックカフェに出かけてきました。カフェには様々な古本が集まり、わたしの本も何冊か並んでおります。
散策会では、カフェの近くにある教会所有の緑地に出かける予定で、その下見もいたしました。旧邸宅跡であるその緑地には湧水による大きな池もあり、都内にいることを忘れる、とても静かな素晴らしい場所です。
- 大きな池のある素敵な空間です
- 教会の祭壇を再利用したブックカフェのコーナー
「秘密の庭」「シークレット・ガーデン」がロンドンなどの大都会にもありますね。知る人ぞ知る、隠れた名所になっています。
この連休は、あなたのとっておきのみどりの癒し空間も探してみてください。
(理事長 上原 巌)
今年はワークショップの年になります
この3月は、福岡県八女市、福井県越前町でワークショップをおこないました。ともに地域の森林に出かけ、地域のみなさまと交流をし、地域の森林と人間の健康を考えました。
ワークショップの内容は、
① その地域の森林はどのような森林か?
② どのような植物があるか?
③ どのような活用方法があるか?
④ どのような歴史があるか?
⑤ どのような風景があるか?
などを参加者のみなさんと一つ一つ考えていきます。
そして、各地で感じ入るのは、ご当地の食です。いずれも地域の水、植物と関わり、森林に結びついています。でも、森林で過ごすこと、郷土の食べ物をいただくということは、やはり人と人との結びつきがあってこその賜物です。また、その際の気配り、心意気が、人の心を元気づけ、また森林も元気づけていくのですね。
-
地域の森林を歩く
(越前町)
- 手書きのメッセージ付きのお弁当(越前町)
今月は福岡県北九州市にもおうかがいし、来月は埼玉県でもワークショップをおこないます。
2025年は、ワークショップの1年になることと思います。
各地域でのリクエストにも幅広くお応えしていきたいと思いますので、どうぞお気軽にご一報ください!
神-森-樹木-信仰-人間
先日、信州の伊那谷に出かけてきました。途中で諏訪を通りましたが、諏訪では「御柱祭り」という郷土歴史色の濃いお祭り、日本三大奇祭にも選定されています。
その御柱祭りでは、天然性の高齢のモミの木が森から伐り出され、人々の手によって山峰を越えて運搬され、奉られます。つまり神様と森林と人間が御柱を仲立ちとしてつながるという習わしでもあります。
しかしながら、森林、樹木を媒介して、神と人間がつながるという行為は、実は他国でもみられます。林業国のドイツでも、毎年5月には「Maibaum:5月の木」と名付けられたマツ科やカバノキ科の樹木が神聖な木として選ばれ、まちなかに立てられます。
日本の神社の境内や参道には、高くそびえるスギやクスノキのご神木がありますね。それらのご神木は神様が降臨しやすいように背高く保存され、あるいはご神木そのものが神様になるのです。
- 諏訪の御柱祭りのモミの木としめ縄(JR岡谷駅)
- 毎年5月に立てられるドイツのマイバウム
森林や樹木を介して、神と人間が接する。
国際的、民族的にも面白いテーマですね。
海外との共同研究
2024年末、台湾での森林療法の国際ワークショップおよび国際会議に参加してきました。連日盛況で、台湾の自然、人々のエネルギーとバイタリティーを感じてきた次第です。
2013年に台湾には台湾森林保健学会ができ、現在も公式な本学会の姉妹学会として共同調査研究をおこなっているところです。
今回、連日のアクティビティに参加し、私自身も研修会と講演を担当して感じたことは、いまや世界の森林療法は2つの流れがあるということです。一つは、心身の保養や療養、リハビリテーション、また健康増進のための森林療法、そしてもう一つは地域の観光資源、レクリエーションとしての森林療法です。いずれにしましても、森林とヒトとがより良い関係性を保持していくことを願っています。
雲林縣でのワークショップの様子。かつて日本人が植えたというモウソウチクの竹林を利用しておこないました。
台北市での国際会議を終えて。
右から6番目がわたし。私の右が台湾の森林・自然保全長官、左が雲林縣知事。
今年、2025年も海外に出かけていく予定です。様々な国々の森林、人々との交流を通して、相互理解と世界平和の実現も目指します。これが今年の新春の願いです!
(理事長 上原 巌)