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第13回学術総会が開催されました Part2.

2023-09-14

第13回学術総会が6月24日(土)に、宮城県仙台市にある東北医科薬科大学小松島キャンパスで開催されました。本年度のテーマは、「All you need is Forest」です。基調講演をはじめ、話題提供、様々な研究発表を通して、私達の生活に、森林がなくてはならない存在だと感じさせられました。初めて東京を離れた開催地ということもあって、大勢の発表者と参加者で盛況に行われました。

基調講演、話題提供、研究発表の内容は、下記のとおりです。

  • 大会長講演 座長 上原 巌(東京農業大学)
    「森林ウォーキングによる健康づくり~森の香りの効用~」
    住友和弘(東北医科薬科大学若林病院 総合診療科 )
  • 国からの話題提供 座長 住友和弘
    「森林保健分野と国有林~東北森林管理局の取組~」
    宮澤俊輔(東北森林管理局長)

会員発表
座長 高山範理(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)

  1. 長野県伊那市藤沢地区の堰堤沿いのアカマツ実生の分布と利用
    上原巌、新舟裕太、鈴木恵理、鴇田奈那、野崎尚哉(東京農大)
  2. 森林を利用した心身の健康~森林散策カウンセラーの立場から見えてきたこと~
    竹内啓恵(樹づ木合同会社)
  3. 『杜の都で、森林浴。』宮城県仙台市を中心とした森林浴プログラムの実践報告
    及川結(合同会社杜の日)
  4. 「Healthy Parks, Healthy People ~仙台都心外縁部のまちづくり」
    豊嶋純一(特定非営利活動法人都市デザインワークス)
  5. 森林ウォーキングのメンタルヘルスへの効果
    安室誠之(北海道森林療法研究会)住友和弘(東北医科薬科大学若林病院総合診療科)
  6. 森林ウォーキングによる健康づくり
    住友和弘(東北医科薬科大学若林病院総合診療科)
  7. 私の森林でのリジェネレーション事始
    高井雅彦(Sustainability Management School 院生、Small Impact 合同会社)

【活動報告】第12回学術総会

2022-06-29

第12回学術総会が対面とオンラインのハイブリッドで開催され、研修会が明治神宮でおこなわれました

6月25日(土)、今年も東京農業大学を会場にして、本学会の第12回学術総会が「森林とコミュニケーション」をテーマに開催されました。

学術総会ではまず、5月に一緒に森林公園を一緒に散策させていただいた、東京都立文京盲学校の近藤美紀副校長先生より基調講演をいただきました。

近藤先生、ご多忙の中、貴重なご講演をいただき、誠にありがとうございました。

そして午後2時から、会員の研究発表。今年は9件の発表があり、ユングの心理学、クロモジの挿し木、地域の森林整備における薬用植物図鑑の作成、大学構内での散策効果、盲学校の生徒さんとの森林公園での散策、地域における高血圧、認知症、コロナ対策としての森林散策、そして樹木の香りなど、多彩な研究発表がおこなわれました。約4時間に及ぶ長時間の研究発表になりましたが、参加者の方々は終始熱心で、各発表に対しての質疑応答も活発におこなわれました。

なお、オンラインとのハイブリッドでの開催であったため、ところどころ音声の不備やマイクの不足などがあり、発表者のみなさまには大変ご迷惑をおかけする場面がありました。しかしながら、そこで発表がストップしてしまうのではなく、会員相互のコミュニケーションに好転し、解決にむすびついたところも、本学会の特徴でした。まさに開催テーマの「森林とコミュニケーション」の一端がうかがえた次第です。

第12回学術総会
長時間にわたって、研究発表と質疑応答が熱心におこなわれました。
 

翌日26日(日)は、明治神宮の杜で研修会が開催されました。住友和弘理事のご指導のもと、生理検査、心理検査の手順と測定方法について、またメディカルチェックや準備体操について解説を交えながらの研修がおこなわれました。その後、竹内啓恵新理事のガイドによる森林ウォーキングを約90分おこない、再度、生理検査、心理検査の測定がおこなわれ、最後にそのデータの解釈について住友理事より解説がありました。

参加者のみなさん、測定のコツなど会得されましたでしょうか?

第12回学術総会
研修会の様子。各検査の測定のコツなども伝授されました。
 

以上、第12回学術総会も無事に終了したことをご報告いたします。

なお、来年度は、仙台を会場に開催される予定です。
また、近日中に、本会の学会誌「森林保健研究」も発行されます。

「森林と心のユニバーサルデザイン~森のみどりはバリアを越える2022~」開催報告

2022-06-08

さる6月1日(水)、シンポジュウム「森林と心のユニバーサルデザイン 森のみどりはバリアを越える2022」が新宿会場とオンラインのハイブリッド形式で開催され、会場、オンライン共に盛況でした。

主催は、全国森林レクリエーション協会です。

日本森林保健学会は、研究助成事業「森林を活用した障害者・高齢者の保健休養及びレクリエーションの今後の展開方向に関する実証的調査事業」を3年間おこないました。今回はその事業の報告を通して、森林における障害者・高齢者の保健休養及びレクリエーションの現状や課題、そして障害の有無にかかわらずすべての人が森林を活用して、その保健休養効果の恩恵を享受していくための方法、さらに、障害者等に対応した森林レクリエーションエリアにおける施設整備の促進と障害者等の森林の保健休養、レクリエーション活用を支援する仕組みづくりの必要性について考えるシンポジュウムをおこないました。

開会にあたっての沼田正俊さま(全国森林レクリエーション協会理事長、元林野庁長官)挨拶では、事業を担当した本学会への謝意もいただきました。

シンポジュウムは、ご参加された皆様が熱心に聴講いただき、最後に質疑応答もおこなわれ、終始あたたかで良い雰囲気の会となりました。この場を借りて、ご参加された皆様方に厚く御礼申し上げます。

なお、本事業の報告書、ならびに「障害者・障害者のための森林のレクリエーション利用のてびき」はまもなく全国森林レクリエーション協会より発行されます。

「森林と心のユニバーサルデザイン~森のみどりはバリアを越える2022~」開催報告

シンポジュウム会場の様子

シンポジュウムの内容は以下の通りです。

開催日時:2022年6月1日(水)13:30~16:00
主催:一般社団法人全国森林レクリエーション協会
後援:日本森林保健学会
対面およびオンライン開催

【スケジュール】
総合司会:木下喜博(全国森林レクリエーション協会 専務理事)  
13:30 開会挨拶:沼田正俊(全国森林レクリエーション協会 理事長)
13:35~14:05 総括報告 上原 巌(本学会理事長、東京農業大学 教授)
14:15~14:30 事例報告 盲学校の事例 
              竹内啓恵(本学会事務局、全国森林レクリエーション研究員) 
14:30~14:45 事例報告 国内または海外の森林公園の事例 上原 巌 
14:45~15:00 事例報告 高齢者の事例 住友和弘(本学会理事、東北医科薬科大学 教授)
15:05~15:50 パネルディスカッション
         司会:高山範理(本学会理事、森林総合研究所 上席研究員) 
         登壇報告者:上記のほか、
         近藤美紀(都立文京盲学校 副校長)
         中村考一(認知症介護研究・研修東京センター 研修企画主幹) 
 

第9回学術総会が開催されました

2019-07-12

「森林と健康 シンポジウム」の翌日の6月23日(日)、東京農業大学において、本年度の学術総会が開かれました。
本年度のテーマは、「森林と人間のこころをはかる」でした。

今回は、下記の6つの研究発表が行われました。ちなみに、発表時間は一人15分+質疑応答5分の計20分です。

  1. 「ドイツとフィンランドにおける国際森林療法シンポジウムの違い」
    上原 巌(東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科)
     
  2. 「荒木川流域における 森林保全と森林療法の両立をめざして(中間報告) ~ある社会福祉法人の“農・福・環”連携の実践記録と森林療法への可能性の模索~」
    杉浦 嘉雄(日本文理大学 工学部 環境・地域創生コース 教授、特定非営利活動法人 おおいた有機農業研究会 顧問)
     
  3. 「森林浴効能表の開発に向けた基礎的研究」
    有馬 遥太朗(東北医科薬科大学病院 薬学部)、松本 直也(トミザワ薬局)他2名
     
  4. 「森林散策時の着帽と帽体内温度に関する研究計画-快適な散策に適した帽子の種類と形状の検討-」
    北 徹朗(武蔵野美術大学)
     
  5. 「都市公園を利用した職場のメンタルヘルス対策~若手社員を対象とした散策セミナー~」
    竹内 啓恵(樹づ木、東京大学 富士癒しの森研究所)他2名
     
  6. 「山中湖村における身近な森林を活用した住民の健康づくりを目的とした調査研究「森活で健康」-アンケートによる野外活動実態調査
    藤原 章雄(東京大学大学院農学生命科学研究科)他4名
     

6つのそれぞれの研究発表をじっくりと聞くことができ、また自由に質疑応答ができ、小さな学会の良さが満喫できたひとときでした。まだまだ分科会ができるほどの規模ではありませんが、発表内容は他学会と遜色ない重要なものであり、じっくり聞き、考え、意見を述べることができるところが本学会の目下の最大の魅力だと感じ入った次第です。

第9回学術総会第9回学術総会第9回学術総会


また、会場には、今年も参加者からのお土産のお菓子が多種類並べられ、ここでも参加者のあたたかなお気持ちが伝わりました。

第9回学術総会

「森林と健康 シンポジウム」盛況に開催されました!

2019-07-12

6月22日(土)午後1時半より、東京農業大学・横井講堂において、日本森林保健学会、東京農業大学、森林文化協会の合同主催による、「森林と健康シンポジウム」が盛況に開催されました。
日本森林保健学会創設10周年を記念してのシンポジウムでもあります。

森林と健康 シンポジウム「森林と健康 シンポジウム」第一部司会:徳田友紀さん(東京農業大学・森林総合科学科3年)

 

シンポジウム第一部の司会は、東京農業大学・森林総合科学科3年生の徳田友紀さんが行いました。

まずは学会理事長の上原 巌(東京農業大学 教授)が「森林と健康」について、基調講演を行いました。
講演の中で上原理事長は、

  • 森林=健康のイメージが定着しつつあるが、森林も人間も様々でその差異も大きく、森林で健康になる場合もあれば、そうでない場合もある
  • 森林環境の条件と個人条件がうまく合致した時に健康がもたらされる
  • 万人に対する森林保養のレシピは作り難い
  • 森林別、個人別の事例を重ねていくことが現在は最も大切
  • ムードに乗ったビジネス投資は危険

などのことを述べ、地域病院、認知症、PTSD,会社員、教員など、それぞれ対象者とした森林療法の各事例を報告し、森林環境の健全度と人間の健全度は比例するのでは? との仮説でしめくくりました。

その後、休憩をはさんで、学会から3つの研究報告が行われました。

「森林と健康 シンポジウム」東北医科薬科大学 住友和弘先生東北医科薬科大学の住友和弘先生が、「地域医療における森林利用」について研究報告を行い、森林散策と大気測定による揮発物質との関連性や、地域における森林散策の定期的な実施によって、地域住民の高血圧患者の割合と脳卒中死亡率が減少した事例を報告されました。

また、この事例から、地域の森林資源を活用した健康増進は、今後の人生100年時代における可能性があることも最後に述べられました。


「森林と健康 シンポジウム」東京大学・富士癒しの森研究所 竹内啓恵特任研究員次に、東京大学・富士癒しの森研究所の竹内啓恵特任研究員が、「森林環境と心の健康づくり」について、報告しました。自分自身の経験から、森林におけるメンタルヘルス活用の重要性についてまず述べ、その後、森林散策カウンセリングの実際の事例を報告されました。

森林カウンセリングの意義とカウンセラーの役割についても言及し、都市部の緑地を活用したメンタルヘルス対策の可能性についてもお話しされました。


「森林と健康 シンポジウム」森林総合研究所 高山範理室長

最後に、森林総合研究所の高山範理室長が、「森林浴の科学的効果」について発表し、森林浴の国内外における研究の現況や、各評価指標や手法について、また森林浴を中心とした環境づくりや幸福度の向上など、今後の社会における可能性についても言及されました。


第2部はパネルディスカッション。ディスカッションに先立ち、森林文化協会常任理事の沖浩様よりご挨拶をいただき、続いて東京農業大学副学長で、同大学稲花小学校校長の夏秋啓子教授から、そして同大学森林総合科学科長の佐藤孝吉教授よりご挨拶をいただき、そのまま第一部での登壇者4名も加わって、パネルディスカッションが始まりました。
「森林と健康 シンポジウム」パネルディスカッション

テーマは、「幼少期の森林体験」、「自分の人生で印象に残っている森林体験」「今後の森林教育、研究に期待すること」の3つです。

回答はそれぞれ百花繚乱。ユーモアも織り交ぜながら、楽しくディスカッションは進行しました。やはりキーワードは、「多様性と多領域の融合」で、様々な方が、様々な思いで集まることにとって、より豊かな森林の保健休養機能が導き出され、高まることに意見が全員の意見が一致しました。


最後に会場からの質疑応答の時間をもうけ、

  1. 森林療法が地域医療で定着するには?
  2. 野外に出たがらない対象者を森に連れ出すには?
  3. 森林での良い就職口はあるか?
  4. 森林を活用したコーチングの可能性

などの質問が参加者から出されました。

  1. については、まずは地域での実効数値、事例を重ねていくことが大切である
  2. については、いきなり屋外に連れ出さず、室内でも緑のイメージを持つなどのステップから始めること
  3. については、就職することを考えるのも一案だが、自分で起業してみるのも一案
  4. については、心身を鍛える場としても森林は好適な環境である

などの回答が導き出されました。

「森林と健康 シンポジウム」パネルディスカッション

以上、あっと言う間の3時間のシンポジュウムでしたが、会場は終始、あたたかく、かつ熱心な雰囲気に包まされていました。

なお、今回のシンポジュウムは、定員200名の事前登録制を取らせていただきました。お申し込みをいただき、ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

皆様方に今度は、森林でお目にかかれますことを、楽しみにしております。

また、会場を提供し、事前準備からご協力いただいた、東京農業大学の皆様方にも厚く感謝申し上げます。 


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