新着情報
いつも不思議に思うこと(今月のひとこと:6月)
現在、全国各地に、森林を活用した地域活性化の企画、事業が行われています。特に、保養地や自然療法をうたった地方自治体が数多く見られます。
「当方の森林率は80%を超えており、森林は宝の山です」
「森林で新たな産業、ビジネスを興して、なんとか若い人に帰ってきてもらわないと」などの言葉をよく耳にしますね。
しかしながら、森林、人員が揃っても、そうした森林保養、自然療法のビジネスは、まずうまくいかないのが現状です。各地で立派な看板、パンフレット、HPは作ったものの、その実態は虚像に近く、起業、事業のほとんどは、開店休業状態だったり、長期の営業不振で悩んでいたり、ということはないでしょうか?
その不振、低迷の理由は明瞭です。
端的に言って、それらの事業では、実際には人に対しても森林に対しても適切なケアができていないからです。このことに尽きます。
いくら森林率が高く、いくら人員数が揃っていても、保健休養を希望する 相手の気持ちやニーズを的確にとらえ、そして地域の森林の現況を率直に見据え、その双方に対する適切なケアができなければ、ビジネスも事業もうまくいくはずがありません。適切なケアができないような状況下では、人間であっても、森林であっても今より健やかにはなりえません。
では、どうしたらいいのか良い方法を教えてもらいたい、人材養成の研修会を開けばどうだろう、資格を交付すればよいか、などの意見も次によく聞くところです。
でも、人のケアのマニュアルはありません。また、研修会を行い、資格を出したところでも、よいケアができないのであれば、何にもなりません。
本学会では、森林と人間のその双方が健やかになっていく適切な道筋を考究していきたいと思っています。
<日本森林保健学会 第7回 学術総会のお知らせ>
日 時:6月24日(土)13:00~
場 所:東京農業大学・世田谷キャンパス 7号館3階 共通製図室
テーマ:人間は本当に森林が好き?!
内 容:
- 基調講演 13:00~14:00
「どうしてクマに遭う機会が増えたのか?」
東京農業大学 森林総合科学科 教授 山﨑晃司 先生 - 会員発表: 14:15~16:30(一人 発表15分、質疑応答5分)
①「森林の保健休養効果に関する様々な条件の考察 ―線形代数の手法の活用―」
上原 巌(東京農業大学)②「象徴としての樹木、森林と保健的効果」
近森 聡(関西大学)③「IT企業の社員を対象とした職場の身近な自然環境を利用した15分間のリフレッシュ効果」
竹内 啓恵(東京農業大学)④「メンタルヘルス対策として職場の身近な自然環境を活用した事例―ワークショップ後の動向について―」
長井 聡里(株式会社JUMOKU)⑤「森林療法が通したストレス緩和の効果~認知症看護認定看護師教育課程における環境の体感的理解を通して~」
狩野 英美(山梨県立大学看護実践開発研究センター)⑥「八ヶ岳南麓、豊かな森の資源を活かした女性のヘルスプロモーション 」
伏見 正江(山梨県立大学看護実践開発研究センター) - 懇親会 18:30~
【研修会】
日 時:6月25日(日)10:00~12:00
場 所:世田谷区成城3丁目緑地 大雨中止
日本森林保健学会会員の方は、両日とも無料です。
非会員の方は、基調講演は無料、会員発表は1,000円、学生は500円です。
なお、研修会の参加は会員のみに限らせていただきます。