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今月のひとこと(2013年2月)
森のめぐみ-樹木の香りと食べものー
「森」というと、「森林浴」や林業をすぐに思い浮かべる方が多いかも知れませんが、森は実は食べものの宝庫でもあります。
私たち日本人は、古来より自然、森の恵みをいただいてきました。縄文時代などには、数多くの木の実を集め、備蓄食としても重宝しています。
しかしながら、この木の実、どんぐりを食べるということは、大昔だけのことではありません。実は、日本では、第二次世界大戦の頃まで、東日本を中心にドングリは実は大切な副食物として保存される地域がありました。
この写真は、長野県木曽谷の王滝村での伝統料理で、食材にはドングリが使われています。
ドングリの採集、あく抜きにはじまって調理に至るまで、数日間かかるまさにスローフードです。今では地域のおばあさんたちしかレシピをご存知の方はおらず、この料理を作ることができません。
王滝村は山あいの村なので、かつては塩が貴重品でした。そのため、塩を使わない料理法ができあがったのですね。食物繊維の多い食材は、今日のヘルシーフードでもあります。
山あいの小さな村。現在各地に「限界集落」と呼ばれる、高齢化、過疎化の進んだ地域がみられますが、そんな小さな山村にこそ、実は現代人の生活習慣、健康を考える要素があるかも知れません。
また、慶事や、節目の行事の際には、和菓子をいただくことがありますね。桜の葉で包んだ道明寺(桜餅)は、その代表例でしょう。桜餅にはオオシマザクラの塩漬けの葉が使われ、その桜の葉をお餅と一緒にまるごと食べることができます。葉を噛むときのサクッとした触感もさることながら、その葉の香りもまた格別なものですね。このよい香りは、塩漬けの桜の葉に含まれるクマリンという芳香成分です。
森には、山菜、水など、貴重な恵みが沢山あります。その貴重な資源を損なうことがない範囲で私たちの先祖は森の恵みを継承してきました。
この恵みを大切にいただくことが永続できるよう、英知をそそいでいきたいものです。