新着情報:活動報告 一覧
第9回学術総会が開催されました
「森林と健康 シンポジウム」の翌日の6月23日(日)、東京農業大学において、本年度の学術総会が開かれました。
本年度のテーマは、「森林と人間のこころをはかる」でした。
今回は、下記の6つの研究発表が行われました。ちなみに、発表時間は一人15分+質疑応答5分の計20分です。
- 「ドイツとフィンランドにおける国際森林療法シンポジウムの違い」
上原 巌(東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科)
- 「荒木川流域における 森林保全と森林療法の両立をめざして(中間報告) ~ある社会福祉法人の“農・福・環”連携の実践記録と森林療法への可能性の模索~」
杉浦 嘉雄(日本文理大学 工学部 環境・地域創生コース 教授、特定非営利活動法人 おおいた有機農業研究会 顧問)
- 「森林浴効能表の開発に向けた基礎的研究」
有馬 遥太朗(東北医科薬科大学病院 薬学部)、松本 直也(トミザワ薬局)他2名
- 「森林散策時の着帽と帽体内温度に関する研究計画-快適な散策に適した帽子の種類と形状の検討-」
北 徹朗(武蔵野美術大学)
- 「都市公園を利用した職場のメンタルヘルス対策~若手社員を対象とした散策セミナー~」
竹内 啓恵(樹づ木、東京大学 富士癒しの森研究所)他2名
- 「山中湖村における身近な森林を活用した住民の健康づくりを目的とした調査研究「森活で健康」-アンケートによる野外活動実態調査
藤原 章雄(東京大学大学院農学生命科学研究科)他4名
6つのそれぞれの研究発表をじっくりと聞くことができ、また自由に質疑応答ができ、小さな学会の良さが満喫できたひとときでした。まだまだ分科会ができるほどの規模ではありませんが、発表内容は他学会と遜色ない重要なものであり、じっくり聞き、考え、意見を述べることができるところが本学会の目下の最大の魅力だと感じ入った次第です。
また、会場には、今年も参加者からのお土産のお菓子が多種類並べられ、ここでも参加者のあたたかなお気持ちが伝わりました。
「森林と健康 シンポジウム」盛況に開催されました!
6月22日(土)午後1時半より、東京農業大学・横井講堂において、日本森林保健学会、東京農業大学、森林文化協会の合同主催による、「森林と健康シンポジウム」が盛況に開催されました。
日本森林保健学会創設10周年を記念してのシンポジウムでもあります。
シンポジウム第一部の司会は、東京農業大学・森林総合科学科3年生の徳田友紀さんが行いました。
まずは学会理事長の上原 巌(東京農業大学 教授)が「森林と健康」について、基調講演を行いました。
講演の中で上原理事長は、
- 森林=健康のイメージが定着しつつあるが、森林も人間も様々でその差異も大きく、森林で健康になる場合もあれば、そうでない場合もある
- 森林環境の条件と個人条件がうまく合致した時に健康がもたらされる
- 万人に対する森林保養のレシピは作り難い
- 森林別、個人別の事例を重ねていくことが現在は最も大切
- ムードに乗ったビジネス投資は危険
などのことを述べ、地域病院、認知症、PTSD,会社員、教員など、それぞれ対象者とした森林療法の各事例を報告し、森林環境の健全度と人間の健全度は比例するのでは? との仮説でしめくくりました。
その後、休憩をはさんで、学会から3つの研究報告が行われました。
東北医科薬科大学の住友和弘先生が、「地域医療における森林利用」について研究報告を行い、森林散策と大気測定による揮発物質との関連性や、地域における森林散策の定期的な実施によって、地域住民の高血圧患者の割合と脳卒中死亡率が減少した事例を報告されました。
また、この事例から、地域の森林資源を活用した健康増進は、今後の人生100年時代における可能性があることも最後に述べられました。
次に、東京大学・富士癒しの森研究所の竹内啓恵特任研究員が、「森林環境と心の健康づくり」について、報告しました。自分自身の経験から、森林におけるメンタルヘルス活用の重要性についてまず述べ、その後、森林散策カウンセリングの実際の事例を報告されました。
森林カウンセリングの意義とカウンセラーの役割についても言及し、都市部の緑地を活用したメンタルヘルス対策の可能性についてもお話しされました。
最後に、森林総合研究所の高山範理室長が、「森林浴の科学的効果」について発表し、森林浴の国内外における研究の現況や、各評価指標や手法について、また森林浴を中心とした環境づくりや幸福度の向上など、今後の社会における可能性についても言及されました。
第2部はパネルディスカッション。ディスカッションに先立ち、森林文化協会常任理事の沖浩様よりご挨拶をいただき、続いて東京農業大学副学長で、同大学稲花小学校校長の夏秋啓子教授から、そして同大学森林総合科学科長の佐藤孝吉教授よりご挨拶をいただき、そのまま第一部での登壇者4名も加わって、パネルディスカッションが始まりました。
テーマは、「幼少期の森林体験」、「自分の人生で印象に残っている森林体験」「今後の森林教育、研究に期待すること」の3つです。
回答はそれぞれ百花繚乱。ユーモアも織り交ぜながら、楽しくディスカッションは進行しました。やはりキーワードは、「多様性と多領域の融合」で、様々な方が、様々な思いで集まることにとって、より豊かな森林の保健休養機能が導き出され、高まることに意見が全員の意見が一致しました。
最後に会場からの質疑応答の時間をもうけ、
- 森林療法が地域医療で定着するには?
- 野外に出たがらない対象者を森に連れ出すには?
- 森林での良い就職口はあるか?
- 森林を活用したコーチングの可能性
などの質問が参加者から出されました。
- については、まずは地域での実効数値、事例を重ねていくことが大切である
- については、いきなり屋外に連れ出さず、室内でも緑のイメージを持つなどのステップから始めること
- については、就職することを考えるのも一案だが、自分で起業してみるのも一案
- については、心身を鍛える場としても森林は好適な環境である
などの回答が導き出されました。
以上、あっと言う間の3時間のシンポジュウムでしたが、会場は終始、あたたかく、かつ熱心な雰囲気に包まされていました。
なお、今回のシンポジュウムは、定員200名の事前登録制を取らせていただきました。お申し込みをいただき、ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
皆様方に今度は、森林でお目にかかれますことを、楽しみにしております。
また、会場を提供し、事前準備からご協力いただいた、東京農業大学の皆様方にも厚く感謝申し上げます。
第8回学術総会&研修会が開催されました
8回目の学術総会が、今年も東京農業大学を会場に開催されました。
はじめに、今年の基調講演は、「森林と文化」をテーマに、東京農業大学大学院 林学専攻 宮林茂幸教授にお話をいただきました。森林と人をつなぐことによって、コミュニティを形成することの重要性についてのご講演でした。
次に、会員発表では、今年も活発な質疑応答、討議が多角的な視点から行われました。一つの発表に時間をたっぷりかけて話し合うことができるのは、他学会では経験することのできない、濃密な時間です。今年は、大学二年生も発表を行いました。
- 福島県南相馬市の山林における放射線量の動態 −2012年と2017年の比較−
上原 巖 (東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科教授) - うらおもて森林論
徳田友紀(東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科2年) - 「市民の憩いの場としての大学演習林
—米国Duke University、Warren Wilson Collegeの事例—」
齋藤暖生(東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所) - 「山中湖村で取り組み始めた森活(もりかつ)で健康プロジェクトの紹介」
藤原章雄(東京大学富士癒しの森研究所)
ご参加いただいた皆さま、長時間おつかれさまでした。
また、今年も図書の販売をしていただいた、農大生協の皆さまにも厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
※なお、先頃、大阪で発生した地震の影響で、今回は、関西方面の皆さまが急遽ご欠席となりました。重ねまして、お見舞い申し上げます。
そして翌日の6月24日(日)は、研修会。今年は、新宿御苑を会場に行いました。
今回の研修会のテーマは、人工植栽、人工的空間の合間にある自然散布の樹木を見つけることです。新宿御苑は、もともとは、信州高遠藩の御屋敷でした。大都会の真ん中にある緑地ですが、それでも、やはり「自然」のちから、いとなみが人知れずおこなわれていることを再確認しました。
そして、自然のいきものもまた、ちゃんと存在をしています。
二日間、学会にご参加いただいた皆さま、誠におつかれさまでした。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
※来年度の学術総会は、2019年6月22日(土)、23日(日)を予定しております。
森林と人間の健康を考える国際会議が台湾で開催されました
森林と人間の健康を考える国際会議、「森林療癒 國際研討會 2017 International Conference of Forest Human Health and Well-being 2017」が、2017年11月26日(日)~27日(月)に、台北市にある台湾の林務局の国際会議場で開催されました。会議の執行は、台湾森林保健学会です。
会議には、日本森林保健学会の上原 巌理事長が参加し、基調講演、パネルディスカッション、そして、森林でのワークショップも行いました。
会場には、連日、200余名の参加者が集い、とても盛況で、フロアからの質疑応答も連日活発でした。
会議翌日の28日(火)には、台湾国立の東眼山森林レクリエーションに出かけ、森でのひとときも過ごしました。
連日、台湾らしい、あたたかな国際会議でした。
台湾のみなさま、ありがとうございました!
今後も、森林と人間の健康を考える輪が広がっていくことを願っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
第7回学術総会&研修会が盛況に開催されました
6月24日(土)、今年も東京農業大学を会場に、第7回目の日本森林保健学会が開かれました。
今年は、クマ研究の第一人者である、森林生態学研究室の山﨑晃司教授に、クマについての基調講演をいただき、その後、6件の会員発表が行われました。
各発表について、長時間、熱心な質疑応答が続き、また今年は事例発表が多く、充実した会になりました。
研究発表後の総会では、昨年秋に、学会誌第一号が刊行されたこと、海外では、台湾森林保健学会も設立され、海外提携も始まっていることなどが報告され、また学会の運営では新たに学生会員枠が設けられ、学会奨励賞も設けられました。
翌日の25日(日)は、世田谷・成城学園に残るかつての里山、緑地での研修会を行いました。
成城学園周辺には、国分寺崖線があり、薪炭林の樹種をはじめ、竹林や湧水も見られます。
身近なみどりにも大きな魅力がありますね。
みなさまのおかげで、今年の日本森林保健学会も無事に終了しました。
連日ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
これからも、本学会では小さな萌芽から、大きな夢を目指していきます!
学会誌への投稿もお待ちしています。