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新着情報:今月のひとこと 一覧

若いお医者さんとの森林での研修会(今月のひとこと:11月)

2015-11-02

青森県の研修医のみなさん約100名と初冬の森林散策を行いました。青森県の臨床研修医のワークショップの一環で、主催は青森県です。

私どもの学会としても、これから自分の専門を決めていく前の若手医師の皆さんにもぜひ地域の森林を活用していただきたいと願っているところですが、いざ一緒に歩いてみると、森林、樹木の関心を持つ方が実に多く、とても頼もしく感じました。

同時に、青森県内の総合病院で、森林を活用した各地の病院の事例についての研修会も開きました。とかく大きな誤解をされやすい、「森林療法」と「森林セラピー ®」の違いから説明し、北海道から九州までの地域病院、診療所など、医療機関で取り組んできたこれまでの森林療法、森林活用の事例を報告しました。森林療法にはお金がかからず、医療スタッフご自身の健康維持、メンタルヘルスにもなり、薬用植物や、自然のカウンセリング&治療空間も活用できます。

今回歩いた青森の森林には、かつての木材搬出のトロッコ線路や、吊り橋があり、参加者のみなさんのこれからの医師としての道を象徴しているようにもうかがえました。ご参加いただいたみなさまが、森林の持つ多様性同様に、様々な個性、専門性を持ったお医者さんとして各地でご活躍されていくことをご祈念申し上げます。

身近な樹林の調査:思春期と森林との関係?(今月のひとこと:10月)

2015-10-01

世田谷区立駒沢中学より、校内にある緑地の樹木を調べてほしいとの依頼があり、出掛けてきました。同校には、通称「タンチ山」という樹林があり、親しまれています。

実際に出かけて調べてみると、クスノキ、ヤマモモなどの植栽木と、イヌシデ、クヌギ、エノキ、ムクノキ、シラカシなど、世田谷のもともとの植生の樹木が混生していることがわかりました。

この樹林は、主に理科の授業・学習で使われるとのことですが、学びの場であるだけでなく、思春期まっただなかの中学生のみなさんにとって、この樹林が一体どんな存在意義を持つのか、興味のあるところです。

この地で、探検など、また逢瀬の場とするような生徒さんはいるのでしょうか?

身近な樹林は、気分転換の場となるだけでなく、ただそこにあり、四季の変化を見せてくれる、風景としての存在意義(風致効果)を強く持っています。このことは、特に都市部に住んでいる方々にとっては、樹林が伐られ、宅地に造成された後などに、肌で強く感じたことがある方も多いことでしょう。

駒沢中学は、今年で創立70周年。大樹のように、伸び伸びとした中学生の皆さんがこれからも育っていくことを願っています。

台湾からのお客さまに信州の保養地をご案内しました。(今月のひとこと:9月)

2015-09-01

先日、国立台湾大学、馬偕医学院、行政院森林管理局などから計7名のお客様が来日されました。
今回は、日本の森林浴、森林療法、また保養地の視察を目的に来られ、御一行を、日本の代表的な避暑地であり、保養地である長野県軽井沢町と、環境省選定の国民保健温泉地である長野県鹿教湯温泉(かけゆおんせん)の2箇所をご案内しました。

軽井沢町は、国内はもとより、海外にも有名な自然リゾートですが、もともとは江戸時代からの宿場町から、高標高、高い森林率、宣教師を中心とした海外保養者の増加、また結核サナトリウムの建設などによって、「屋根のない病院」と呼ばれ、保健保養地として発展してきました。
また、鹿教湯温泉は、数百年前から、山に囲まれた地形が脳卒中、脳梗塞などの患者さんの療養、リハビリテーションに適し、様々な病気、怪我を負った人々が湯治をしてきた温泉地です。現在では、全国から、保養、療養、リハビリテーション目的の方々がお見えになり、温泉保養施設も充実しています。

軽井沢町、鹿教湯温泉、ともに地域の自然を生かした保養、療養地として歴史を積み重ねてきた場所であることが特徴ですね。

現在は、付け焼き刃的で、インスタントな「健康基地」のようなものも企画されていますが、歴史と時の流れは、安易な村おこしやビジネス企画、お金よりもやはり貴く、価値があるものです。

いにしえの癒しの旅を辿ることは、現代の新たな癒しの旅につながっています。

近な森林を再発見しましょう(今月のひとこと:8月)

2015-08-01

残暑お見舞い申し上げます。
連日、猛暑が続いていますね。

この暑さの中、関西の地域病院で定例の森林療法を行いました。この病院では昨年より毎月2回のペースで、森林療法を行っています。

森林療法の実践にあたっては、まず看護師、作業療法士の方々と一緒に地域の森林に出掛けて踏査を行い、そのあとで患者さん、看護師、作業療法士の方々と再度その森林に出掛けて森林療法のひとときを過ごし、最後に患者さん一人一人から評価を行ってもらっています。

森林療法、森林の保健休養は、各地の森林を活用して、特別なお金、投資などをせずにできるものです。

これからも日本の各地域で、森林を活用した保健休養、医療、福祉が身近に気軽にできるようになることを願っています。


残暑厳しい折、どうかくれぐれもお体をご自愛ください。

なつかしい風景を探してみましょう(今月のひとこと:7月)

2015-07-01

暦は、7月、文月に入りました。

各地の山村、森林を訪ねると、水田には青空が映り、カエルやセミの声を聞くことができます。なつかしい里山の風景ですね。

でも、「なつかしさ」とは何でしょう? 日頃、なにげなく「なつかしい」と思うことがありますが、よくよく考えてみると、「なつかしさ」は曖昧なものであり、英訳なども難しいものです。

けれども、あえて一言でいってみると、「なつかしいもの」とは、「昔から変わらないもの」のことではないでしょうか?

昔から変わらない自然の山、川、空気、鳥や虫の声。それは、移ろいやすい都市部にではなく、地域、田舎にあります。

この夏は、各地の「なつかしい風景」をさがしてみてはいかがでしょうか?

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