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森は逃避の場所!?

2020-01-10

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

「森林は心身を癒す」
「森林に出かけると、健康になる」
 現在このようなフレーズが世界のあちこちで聞かれます。
 
様々なビジネスが絡み、そのバイアスの影響もあって、森林の保健休養効果の研究は依然としてまだまだ玉石混交の段階にあります。
一つ一つの事象、事例は確かにその通りなのかも知れませんが、「森林=健康」と断言をすることは今なおできません。

一つの例として、「森林=逃避場所」ということも言えそうです。
人類の歴史上、森をすみかとしていた時代も考えられますが、外敵から身をひそめる場所として、また疾病やケガを癒し、体力を回復する場所としての森の存在の時代もあったことと思います。それは、現在の各地の森での保養、休養などに名残りとして残っているのではないでしょうか?
 
本年2020年も森林と人間のあり方について考究してまいります。
6月には、昨年同様にシンポジウムを、東京農業大学を会場に開催する予定です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

今月のひとこと「森は逃避の場所!?」

森は私たち人間の「逃避場所」、かくれがとしての機能も持っています。

思い出の場所=おもてなしの場所

2019-12-03

先日、フィンランドとインドから、森林療法の友人が来日しました。
様々なところにご案内しましたが、一番みなさんが落ち着かれ、心身ともに納得されたのは、私が幼少期から慣れ親しんできた長野の森でした。有名な観光地よりも、無名で個人的な思い出のある場所の方が、友だちのこころには響き、伝わるものが多いのでしょう。自分の思い出の場所は、最高のおもてなしの場所になるのですね。

みなさんにとって、思い出のある森はありますか?
今はまだないという方でも、これからぜひそんな森を作ってみてはいかがでしょうか?

2019年も大変お世話になりました。今年は6月に学会創設10周年の記念シンポジウムを開催し、学会理事の書いた「森林アメニティ学」(朝倉書店)が、韓国、中国でも出版される節目の一年になりました。

来年2020年もまたシンポジウムの開催を企画しています。皆様方のますますのご参加を心よりお待ちしています。

それでは、みなさま、どうぞ良いクリスマスと良いお年をお迎えくださいませ。

(上原 記)

森林の健全度

2019-11-01

台風19号をはじめ、各災害での被災地のみなさまにお見舞い申し上げます。

今年の上半期の予想では、水不足の夏になるのでは?との長期予想もありましたが、今年の下半期は本当に雨の多い年になりました。

私の実家のある長野市では、千曲川が決壊し、数多くの方々の家々が水害に遭い、今なお不便で不安な生活を送られています。

記録的な豪雨であったことも確かですが、その大量の雨水を保持することのできなかった周辺の森林にも、その水害の原因の一端はやはりあることでしょう。手入れ不足で林床植生、森林土壌の乏しい人工林では、一気に水が表層を流れ、低地に雨水をもたらし、さらに各地で侵食も発生しました。

けれども、スギやヒノキの人工林が直ちに悪いわけではありません。スギ、ヒノキの人工林であっても、継続的にきちんと手入れが行われてきた場所では、多種類な下層植生が繁茂し、たとえ大雨であっても、土壌流亡や鉄砲水はほとんど発生しなかったようです。

「森林」と一口に私たちは日頃呼んでいます。でも、その森林の健全度、真のすがたについても目を向けていくことが大切ですね。
(上原 記)

今月のひとこと(11月)
長野市・千曲川の決壊。この台風19号の災害は、海外でも報道され、国際的なニュースになりました。

今月のひとこと(11月)
長年の間、手入れをされずに放置されたヒノキ人工林。
下層植生、森林土壌が貧弱で、今回の台風後は随所にえぐられた痕が残りました。

今月のひとこと(11月)
長年にわたって、適切な手入れが行われてきたヒノキ人工林。
下層植生が繁茂し、急斜面でも、水害が発生しませんでした。

秋になりました。森に出かけ、読書をしましょう!

2019-10-02

季節は秋。森歩きにも良いシーズンになりましたね。
森に入ったら、ぜひ足元の林床にも目を向けてみてください。

今月のひとこと(10月)

これは、アブラチャンというクスノキ科の樹木です。
クスノキ科独特の良い香りもありますが、その実からは油が採れます。
かつての読書灯には、このアブラチャンの油が使われました。

そして、秋は落ち着いて本が読める季節でもありますね。

今月のひとこと(10月)

これは、詩人の長田 弘(1939-2015)さんの作品。
私たちには、まさに深呼吸が必要です。
表紙はいみじくも樹木のイラスト。
これもまた森林、樹木のもたらすアメニティでしょうか。

木は長寿

2019-09-05

夏休みに、信州の実家の土蔵の片づけを行っていたところ、曾祖母の御嫁入りの際に持ってきた長持ちが出てきました。
今から100年以上前の桐製のものです。

今月のひとこと

しかしながら、材にはカビひとつなく、腐朽もありません。

今月のひとこと
これは、上ぶたです。
材には狂いがなく、緩やかな円形カーブの造りになっています。

今月のひとこと
一般に樹木は数十年から数百年も生きる長寿の生命を持っていますが、伐られて、用材となっても、依然として長生きを続けるのですね。

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