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今月のひとこと(2013年4月)
ーさくらの花ー

2013-04-03

さくら4月に入り、新年度、新学期が始まりましたね。

東日本ではこれからのところもありますが、各地でさくらがきれいに咲いています。
さくらは日本の国の花でもあり、さくらの咲く風景は1年のうちでもとても華やぐ時節ですね。

でも、みなさんはこのさくらの花がどんな風に咲くのか知っていますか?

さくらの花は、春になっていきなり作られるのではなく、実は前の年の6月頃に花芽がつくられはじめ、9月頃におしべ、めしべができ、花芽と葉の芽との区別がついているのです。
でも、休眠物質の作用のため、秋には花は咲かず、翌春の春に開花をします。

さくらの花は、秋と冬の一定期間の低温(積算低温)を経験した後、気温の上昇とともに開花ホルモンからの作用が始まり、開花します。
寒さを積み重ねることによって、休眠物質が減少していくのですが、あたたかい冬では、休眠物質が減らないため、開花が遅れます。

私たちは毎春、きれいな桜の花に一喜一憂しているだけですが、そのきれいな花が咲くまでには、一定の寒い時期を、寒さのストレスを受けることがさくらにとっては不可欠なのですね。

逆に寒さが厳しかった冬の後は、春にあたたかくなると、さくらは急に花開きます。

さくらの花芽は2月頃から成長をはじめ、3月からは肉眼でも芽のふくらみがわかるようになります。

さくらの開花はかつて農作業(種まきなど)の始まりを告げる重要な役割を持ち、春の里ではピンクの色が目立つため、河川の氾濫などのあとの堤防修復の目印、基準点にもされていました。

今年のさくらの花、そして新年度、新学期はいかがでしょうか?

さくら

今月のひとこと(2013年3月)
-木造校舎の魅力ー

2013-03-11

3月(弥生)に入りました。

今月は卒業式や転勤、お引越しの時節でもありますね。

今月16日(土)は、神奈川県相模原市にある青根小学校で日本森林保健学会の研修会を開きます。
(※別途のお知らせをご参照ください!)

会場となる青根小学校は、太平洋戦争中に建てられた、今なお現役の木造校舎です。

単なるノスタルジアだけではなく、木造校舎が現在見直されていますが、その理由は何なのでしょうか?

木造校舎には、子どもたちの心を落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があるのでは?と調べられ、特に木材の木目や節が、それを眺める者の脳に心地よい影響を与えるのでは?と考えられています。

また、木造校舎独特のにおいや、木の階段や廊下を歩く感触も影響を与えているかも知れません。

ヒノキ材の机を導入してから、子どもたちが落ち着くようになったという報告もあります。

木材の及ぼす影響はこれからさらに明らかにされつつ、その重要性もまた増していくことでしょう。

今月のひとこと(2013年2月)
森のめぐみ-樹木の香りと食べものー

2013-02-08

「森」というと、「森林浴」や林業をすぐに思い浮かべる方が多いかも知れませんが、森は実は食べものの宝庫でもあります。

私たち日本人は、古来より自然、森の恵みをいただいてきました。縄文時代などには、数多くの木の実を集め、備蓄食としても重宝しています。

しかしながら、この木の実、どんぐりを食べるということは、大昔だけのことではありません。実は、日本では、第二次世界大戦の頃まで、東日本を中心にドングリは実は大切な副食物として保存される地域がありました。

この写真は、長野県木曽谷の王滝村での伝統料理で、食材にはドングリが使われています。

今月のひとこと(2月)

ドングリを中心とした木曽の王滝村の料理
なんとパンもどんぐりの粉から作ります!

ドングリの採集、あく抜きにはじまって調理に至るまで、数日間かかるまさにスローフードです。今では地域のおばあさんたちしかレシピをご存知の方はおらず、この料理を作ることができません。

今月のひとこと(2月)

山菜のならんだきれいな食卓

王滝村は山あいの村なので、かつては塩が貴重品でした。そのため、塩を使わない料理法ができあがったのですね。食物繊維の多い食材は、今日のヘルシーフードでもあります。

今月のひとこと(2月)

ドングリのクッキー (長野県木曽郡王滝村)

山あいの小さな村。現在各地に「限界集落」と呼ばれる、高齢化、過疎化の進んだ地域がみられますが、そんな小さな山村にこそ、実は現代人の生活習慣、健康を考える要素があるかも知れません。

今月のひとこと(2月)

柿の葉を使った「柿の葉寿司」 (奈良県吉野)
柿の葉には、豊富なビタミンCが含まれ、柿の葉茶としても愛飲されています。

また、慶事や、節目の行事の際には、和菓子をいただくことがありますね。桜の葉で包んだ道明寺(桜餅)は、その代表例でしょう。桜餅にはオオシマザクラの塩漬けの葉が使われ、その桜の葉をお餅と一緒にまるごと食べることができます。葉を噛むときのサクッとした触感もさることながら、その葉の香りもまた格別なものですね。このよい香りは、塩漬けの桜の葉に含まれるクマリンという芳香成分です。

今月のひとこと(2月)

伝統的な和菓子にも、森の恵みが息づいています!

森には、山菜、水など、貴重な恵みが沢山あります。その貴重な資源を損なうことがない範囲で私たちの先祖は森の恵みを継承してきました。

この恵みを大切にいただくことが永続できるよう、英知をそそいでいきたいものです。

 

今月のひとこと(2013年1月)

2013-01-07

あけましておめでとうございます!

今年は巳年ですね。
巳・ヘビは、日本では、「水の神様」として崇められている地域が全国各地にあります。
また、海外では、医術の神とされる国々もみられます。
今年は、その巳年にちなんで、さらに水や医学からの観点からもみなさんと
森林を眺めていきたいと思っています。

なお、よく誤解を持たれることなのですが、森林での休養や保健活動は、
地域に高額の金額を要求するようなものではありません。
特別なお金をかけずとも、自分たちのペースで、身の丈にあった身近な森林で
できることが特徴です。

しかしながら誠に残念なことに、「地域振興」「健康」「科学」などの言葉で、
過疎や高齢化に悩む山村地域に実は多大な負担をかけるビジネスも
数年前から各地でみられているようです。

けれども、地域振興とはどんなことでしょう?
科学的とはどんなことを指すのでしょうか?

今年も皆さんの身近な森林で、人と森林の健康について考えていきたいと思っておりますので、
ぜひご参加ください。

国内外にも精力的に出かけてまいりますので、今年もどうぞご指導ご鞭撻のほどを賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます。

日本森林保健学会 事務局一同

今月のひとこと(2012年12月)

2012-12-06

今年も最後の月、十二月に入りました。

クリスマス、大晦日と1年の締めくくりの月ですね。

クリスマス・ツリーにはモミやトウヒの木が使われ、謳われます。

常緑樹(evergreen tree)には、色褪せたり、朽ちたりすることのない永遠の命がイメージされ、クリスマスと重ね合わされているのですね。

また、キリスト教の文化が生じる前から、古代ゲルマンの文化においても、冬至の頃、森の中から常緑樹(針葉樹)を伐り出し、神に捧げる風習がありました。

日本でも、お正月飾りには、常緑樹の松を使いますね。

冬至は一年で最も日が短い日ですが、再び日が長くなっていく原点の日でもあります。

一年の振りかえりは、森閑とした自然の中で、樹木とともに見つめたいものです。

モミの木と夕陽

みなさんにとって、今年はどんな一年だったでしょうか?

 

今年も大変お世話になりました。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

日本森林保健学会 事務局一同

 

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