新着情報:今月のひとこと 一覧
今月のひとこと(2013年8月:葉月)
暑中お見舞い申し上げます。
日本は春夏秋冬の四季がはっきりとした国です。
夏の暑さは、また格別ですね。
夏の真っ盛り、郊外の森林に出かけると、林内の気温は、都市部と比べて5~7度くらい低く、涼しく過ごしやすいことが多いです。
特に林間を吹き抜ける風は心地よく感じられますが、これは森林の日陰だけでなく、樹木から発散される水蒸気のおかげです。
よく言われるように、森の中には天然のクーラーが効いているのですね。
標高の高い場所の森林に出かけると、さらに気温は下がります。
盛夏を森林でも楽しんでみましょう!
早朝の散策 -連休におすすめです!
風薫る5月になりましたね。
5月といえば、まずはゴールデンウイーク、端午の節句です。
この連休にご家族で行楽にお出かけになられる方々も多いことでしょう。
しかしながら、いまにはじまったことではありませんが、この連休は、あちこちで渋滞が発生したり、多くの人出で混雑したりするところが多いのが実際のところです。
そんな時におすすめしたいのは、早朝の散策です。
これは何も観光地や行楽地だけではなく、ご近所の散歩でも同様です。
むかしから、「早起きは三文の得」と云います。これは早起きをすることによって、一日の時間を有効に使うということと同時に、生活のリズムを整え、健康的な生活を送るということも含んでいます。
そしてさらに早起きをしての散策ですが、これには大気、空気が関与します。まだ仕事や活動が始まらない時間帯は、交通量や人出も少ないため、排気ガスや大気中の浮遊物質が少なく、空気がまだ汚れていないのです。おまけに早朝のまちはまだ静かで、鳥の声などにも落ち着いて耳を澄ますことができます。
そこでその清澄な空気のもとでの散策を今月は特におすすめするわけです。
都市部、市街地では、幹線道路によってかなり空気が汚れているところがあります。現在はジョギングがブームですから、あちこちの道路で走っている人をみかけますが、場合によっては、健康に悪い時間帯、場所もあると思われます。
森林内には、大気浄化、騒音緩和などの効用が大なり小なりありますから、もしお近くに公園、寺社林などがありましたら、ぜひこの連休の朝は静かな木立の中で過ごしてみてはいかがでしょう?
早朝の散策は、とても爽やかです!
今月のひとこと(2013年4月)
ーさくらの花ー
東日本ではこれからのところもありますが、各地でさくらがきれいに咲いています。
さくらは日本の国の花でもあり、さくらの咲く風景は1年のうちでもとても華やぐ時節ですね。
でも、みなさんはこのさくらの花がどんな風に咲くのか知っていますか?
さくらの花は、春になっていきなり作られるのではなく、実は前の年の6月頃に花芽がつくられはじめ、9月頃におしべ、めしべができ、花芽と葉の芽との区別がついているのです。
でも、休眠物質の作用のため、秋には花は咲かず、翌春の春に開花をします。
さくらの花は、秋と冬の一定期間の低温(積算低温)を経験した後、気温の上昇とともに開花ホルモンからの作用が始まり、開花します。
寒さを積み重ねることによって、休眠物質が減少していくのですが、あたたかい冬では、休眠物質が減らないため、開花が遅れます。
私たちは毎春、きれいな桜の花に一喜一憂しているだけですが、そのきれいな花が咲くまでには、一定の寒い時期を、寒さのストレスを受けることがさくらにとっては不可欠なのですね。
逆に寒さが厳しかった冬の後は、春にあたたかくなると、さくらは急に花開きます。
さくらの花芽は2月頃から成長をはじめ、3月からは肉眼でも芽のふくらみがわかるようになります。
さくらの開花はかつて農作業(種まきなど)の始まりを告げる重要な役割を持ち、春の里ではピンクの色が目立つため、河川の氾濫などのあとの堤防修復の目印、基準点にもされていました。
今年のさくらの花、そして新年度、新学期はいかがでしょうか?
今月のひとこと(2013年3月)
-木造校舎の魅力ー
3月(弥生)に入りました。
今月は卒業式や転勤、お引越しの時節でもありますね。
今月16日(土)は、神奈川県相模原市にある青根小学校で日本森林保健学会の研修会を開きます。
(※別途のお知らせをご参照ください!)
会場となる青根小学校は、太平洋戦争中に建てられた、今なお現役の木造校舎です。
単なるノスタルジアだけではなく、木造校舎が現在見直されていますが、その理由は何なのでしょうか?
木造校舎には、子どもたちの心を落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があるのでは?と調べられ、特に木材の木目や節が、それを眺める者の脳に心地よい影響を与えるのでは?と考えられています。
また、木造校舎独特のにおいや、木の階段や廊下を歩く感触も影響を与えているかも知れません。
ヒノキ材の机を導入してから、子どもたちが落ち着くようになったという報告もあります。
木材の及ぼす影響はこれからさらに明らかにされつつ、その重要性もまた増していくことでしょう。
今月のひとこと(2013年2月)
森のめぐみ-樹木の香りと食べものー
「森」というと、「森林浴」や林業をすぐに思い浮かべる方が多いかも知れませんが、森は実は食べものの宝庫でもあります。
私たち日本人は、古来より自然、森の恵みをいただいてきました。縄文時代などには、数多くの木の実を集め、備蓄食としても重宝しています。
しかしながら、この木の実、どんぐりを食べるということは、大昔だけのことではありません。実は、日本では、第二次世界大戦の頃まで、東日本を中心にドングリは実は大切な副食物として保存される地域がありました。
この写真は、長野県木曽谷の王滝村での伝統料理で、食材にはドングリが使われています。
ドングリの採集、あく抜きにはじまって調理に至るまで、数日間かかるまさにスローフードです。今では地域のおばあさんたちしかレシピをご存知の方はおらず、この料理を作ることができません。
王滝村は山あいの村なので、かつては塩が貴重品でした。そのため、塩を使わない料理法ができあがったのですね。食物繊維の多い食材は、今日のヘルシーフードでもあります。
山あいの小さな村。現在各地に「限界集落」と呼ばれる、高齢化、過疎化の進んだ地域がみられますが、そんな小さな山村にこそ、実は現代人の生活習慣、健康を考える要素があるかも知れません。
また、慶事や、節目の行事の際には、和菓子をいただくことがありますね。桜の葉で包んだ道明寺(桜餅)は、その代表例でしょう。桜餅にはオオシマザクラの塩漬けの葉が使われ、その桜の葉をお餅と一緒にまるごと食べることができます。葉を噛むときのサクッとした触感もさることながら、その葉の香りもまた格別なものですね。このよい香りは、塩漬けの桜の葉に含まれるクマリンという芳香成分です。
森には、山菜、水など、貴重な恵みが沢山あります。その貴重な資源を損なうことがない範囲で私たちの先祖は森の恵みを継承してきました。
この恵みを大切にいただくことが永続できるよう、英知をそそいでいきたいものです。