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キハダ(今月のひとこと:9月)
みなさんは、キハダという樹木を知っていますか?
主に冷温帯に自生するミカン科の樹木です。
キハダの名前は、樹皮を剥くとその内皮が黄色いことに由来しており、その黄色い内皮にベルベリンという物質が含まれ、昔から健胃腸剤として使われてきました。
そして、このキハダの樹皮ですが、実は利用しているのは私たち人間ばかりではありません。野生の動物もまた利用しており、林地を歩くと、野生のシカに樹皮を食べられているキハダに出会うことがあります。彼らは本能でこの樹木の薬効を知っているのですね。あるいは、シカの社会もストレス社会であり、胃腸の弱ったシカが多くなってきているのかも知れません(笑)。
これらもまた、森林のアメニティ、豊かさですね。
秋です。森林で、健康づくりのできる樹木も探してみましょう!
※キハダの人工栽培(畑地栽培)は、長野県が全国に先駆けて始めました。
最新ニュース3つ!(今月のひとこと:8月)
残暑お見舞い申し上げます。
連日、猛暑が続いておりますが、皆様方におかれましては、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は、次の3つのニュースがあります。
1.上原理事長 中国・北京を訪問
昨年に引き続き、上原 巌理事長が、中国より招聘を受け、北京にて、7月28日~30日まで、森林療法の研修会をおこないました。熱心で、積極的な参加者が多く、上原理事長自身も勇気づけられ、元気になる研修会だったとのことです。現在、中国では、森林の造成、緑化と共に、森林を活用した健康増進にも急ピッチで力が注がれています。
昨年は、台湾森林保健学会との国際締結も行われましたが、中国本土との交流も今後さらに活発化する予定です。
中国・北京での森林療法研修会の記念撮影(7月29日)
研修会の様子 連日、みなさんとても熱心で、積極的な研修会でした。
2.上原理事長 アメリカ・ミシガン州立大学で客員教授
理事長ニュースが続きますが、8月21日(月)~10月20日(金)まで、アメリカ・ミシガン州立大学農学部林学科で、2か月間の客員教授を担当されます。その内容につきましては、同大学のHPをご覧ください。
http://hufflab.weebly.com/people.html
http://hufflab.weebly.com/teaching.html
担当される科目名は、「Forest Amenities and Forest Therapy」。講義は、月、水、金の週3回あり、実習も試験も行うそうです。
アメリカのお土産話もまた楽しみですね。
3.「森林アメニティ学」の発刊
上原 巌理事長、住友和弘副理事長ほか、学会会員の高山範理先生などで抱えた新刊「森林アメニティ学」(ISBN: 978-4-254-47052-9)が朝倉書店より、9月15日に発売されます。先生方の長年の研究成果が集約されており、この分野の本の決定版、テキストとなることと思います。
どうぞご高覧ください!
「森林アメニティ学」 9月に発刊されます。どうぞご高覧ください!
※表紙デザインは、異なる場合があります
涼しい場所をさがしましょう!(今月のひとこと:7月)
7月に入り、いよいよ夏の到来ですね。
都市部では、早くも連日30℃を超える暑さになっています。でも、そんな時におすすめなのが、やはり森林です。
ざっと言って、盛夏期では、市街地と比べて森林の中は4~8℃くらい気温が低く、涼しい環境です。
これは、木陰による影響もありますが、樹木、植物から空気中に蒸散される水分のおかげです。
お住いの近くに神社やお寺はありませんか?
寺社林などでもその涼しさは味わうことができます。
森の木陰にたたずむと、林床にスポットライトのように木漏れ日がさしているのを目にします。
この木漏れ日も林冠、樹冠を手入れすることによって、ある程度演出することができます。
森林の風致効果には、気温の緩衝作用と見た目の美しさの双方がありますね。
第7回学術総会&研修会が盛況に開催されました
6月24日(土)、今年も東京農業大学を会場に、第7回目の日本森林保健学会が開かれました。
今年は、クマ研究の第一人者である、森林生態学研究室の山﨑晃司教授に、クマについての基調講演をいただき、その後、6件の会員発表が行われました。
各発表について、長時間、熱心な質疑応答が続き、また今年は事例発表が多く、充実した会になりました。
研究発表後の総会では、昨年秋に、学会誌第一号が刊行されたこと、海外では、台湾森林保健学会も設立され、海外提携も始まっていることなどが報告され、また学会の運営では新たに学生会員枠が設けられ、学会奨励賞も設けられました。
翌日の25日(日)は、世田谷・成城学園に残るかつての里山、緑地での研修会を行いました。
成城学園周辺には、国分寺崖線があり、薪炭林の樹種をはじめ、竹林や湧水も見られます。
身近なみどりにも大きな魅力がありますね。
みなさまのおかげで、今年の日本森林保健学会も無事に終了しました。
連日ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
これからも、本学会では小さな萌芽から、大きな夢を目指していきます!
学会誌への投稿もお待ちしています。
いつも不思議に思うこと(今月のひとこと:6月)
現在、全国各地に、森林を活用した地域活性化の企画、事業が行われています。特に、保養地や自然療法をうたった地方自治体が数多く見られます。
「当方の森林率は80%を超えており、森林は宝の山です」
「森林で新たな産業、ビジネスを興して、なんとか若い人に帰ってきてもらわないと」などの言葉をよく耳にしますね。
しかしながら、森林、人員が揃っても、そうした森林保養、自然療法のビジネスは、まずうまくいかないのが現状です。各地で立派な看板、パンフレット、HPは作ったものの、その実態は虚像に近く、起業、事業のほとんどは、開店休業状態だったり、長期の営業不振で悩んでいたり、ということはないでしょうか?
その不振、低迷の理由は明瞭です。
端的に言って、それらの事業では、実際には人に対しても森林に対しても適切なケアができていないからです。このことに尽きます。
いくら森林率が高く、いくら人員数が揃っていても、保健休養を希望する 相手の気持ちやニーズを的確にとらえ、そして地域の森林の現況を率直に見据え、その双方に対する適切なケアができなければ、ビジネスも事業もうまくいくはずがありません。適切なケアができないような状況下では、人間であっても、森林であっても今より健やかにはなりえません。
では、どうしたらいいのか良い方法を教えてもらいたい、人材養成の研修会を開けばどうだろう、資格を交付すればよいか、などの意見も次によく聞くところです。
でも、人のケアのマニュアルはありません。また、研修会を行い、資格を出したところでも、よいケアができないのであれば、何にもなりません。
本学会では、森林と人間のその双方が健やかになっていく適切な道筋を考究していきたいと思っています。
<日本森林保健学会 第7回 学術総会のお知らせ>
日 時:6月24日(土)13:00~
場 所:東京農業大学・世田谷キャンパス 7号館3階 共通製図室
テーマ:人間は本当に森林が好き?!
内 容:
- 基調講演 13:00~14:00
「どうしてクマに遭う機会が増えたのか?」
東京農業大学 森林総合科学科 教授 山﨑晃司 先生 - 会員発表: 14:15~16:30(一人 発表15分、質疑応答5分)
①「森林の保健休養効果に関する様々な条件の考察 ―線形代数の手法の活用―」
上原 巌(東京農業大学)②「象徴としての樹木、森林と保健的効果」
近森 聡(関西大学)③「IT企業の社員を対象とした職場の身近な自然環境を利用した15分間のリフレッシュ効果」
竹内 啓恵(東京農業大学)④「メンタルヘルス対策として職場の身近な自然環境を活用した事例―ワークショップ後の動向について―」
長井 聡里(株式会社JUMOKU)⑤「森林療法が通したストレス緩和の効果~認知症看護認定看護師教育課程における環境の体感的理解を通して~」
狩野 英美(山梨県立大学看護実践開発研究センター)⑥「八ヶ岳南麓、豊かな森の資源を活かした女性のヘルスプロモーション 」
伏見 正江(山梨県立大学看護実践開発研究センター) - 懇親会 18:30~
【研修会】
日 時:6月25日(日)10:00~12:00
場 所:世田谷区成城3丁目緑地 大雨中止
日本森林保健学会会員の方は、両日とも無料です。
非会員の方は、基調講演は無料、会員発表は1,000円、学生は500円です。
なお、研修会の参加は会員のみに限らせていただきます。