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静かに森で過ごすということ(今月のひとこと:12月)

2017-12-01

森林浴、森林療法が、いまやアジアだけではなく、ヨーロッパや北アメリカ、オセアニアの国々にも広がりつつあります。また、同時に様々なビジネスも生まれています。

森林浴、森林療法での歩くコースや、レクリエーション・プログラムが作られたり、モニターツアーなども各地で企画されたりしています。けれども、それらの内容は、意外なほどよく似てもいます。そして、「うちの村ならではの森林浴、森林療法を・・・」というスローガンを持つところまでもが酷似しています(笑)。「森林、森林・・・」「療法、療法・・・」「セラピー、セラピー、・・・」と、その流行、ブーム自体がストレスにもなりえるほどです。

でも、よく考えてみましょう。森での過ごし方は、そうしたブームによって決められ、推し進められるものでしょうか?森の中で大勢のツアー客で賑わうことは楽しく、それも良いことかも知れませんが、喧騒の中で聞こえなくなるもの、見えなくなる大切なものがあります。

静けさ。それは、森の恵みの中で、森の清澄な空気と同じくらいに大切なものです。静かに森で過ごすこと。それは、森林での保健活動の基盤であり、根幹でさえあります。静かな森の中で、自分の体を横たえ、自分の内なる生と、森林の声に耳を澄ますこと。とても素朴で、お金もかからない、この静かな森での時間が私たちをどれだけ健やかにしてくれることでしょう。

師走の喧騒をはなれ、森の中の静けさの中にも身を置いてみましょう。

2017年も大変お世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

都会の喧騒を離れ、静かな森の中で過ごしてみましょう。

「森林アメニティ学 森と人の健康科学」(朝倉書店) 発刊のお知らせ

2017-11-22

この度、本学会の理事長、副理事長の上原 巌、住友和弘の両先生ほか、森林風致計画研究所の清水裕子先生、森林総合研究所の高山範理先生(本学会会員)の4名の先生方が、「森林アメニティ学 -森と人の健康科学-」という本を朝倉書店から出版されました。

森林アメニティ学本の主な内容は、次の通りです。
第1章 森林アメニティ学とは?
第2章 地域福祉における森林保健活動
第3章 カウンセリング、心理分野における森林の活用
第4章 森林の医療利用
第5章 薬用樹木と樹木のヒーリング文化
第6章 地域医療における事例
第7章 海外における森林の保健休養の事例
第8章 森の幼稚園
第9章 森林美学
第10章  森林と芸術
第11章  森林アメニティの計測と評価尺度
第12章  森林のアメニティ分野における課題と展望

森林療法とは、どこで、どのようなことが行われていますか?
森の幼稚園とは、どんな保育活動のこと?
ビジネスマンや公務員の森でのメンタルヘルスの事例はある?
などなど、日頃、一般に疑問に思われている様々なトピックスについて、
数多くの写真をはじめ、図、データ、資料とともに解説されています。

ぜひご一読ください!

ワークショップのすすめ(今月のひとこと:11月)

2017-11-01

現在、社会のいろいろなところでワークショップ」が開催、行われています。

でも、「ワークショップ」って、そもそもどんなことでしょう?

ワークショップとは、セミナー、体験講座、研修会などと言い換えることもできることですが、一言で言うと、「みんなで様々なテーマについて取り組むこと」をワークショップといいます。

森林の保健活動は、まさにそのワークショップが活用しやすい分野ですね。

例えば、実際に森の中に入って、保健、休養のプログラムをみんなで考え、すぐにその場でためしてみたり、あるいは様々なテーマをまとめて、一つの方向性を導き出したり、可能性を紡ぎ出していくことなどです。

ワークショップには、お金がかかりません!仲間とアイディアがあれば、どこでもできます。「一人ワークショップ」だって、「一人会議」同様に可能かも知れません!?

ぜひ身近なところで、身近な仲間とワークショップをしてみましょう。

● 森の中でのワークショップの一コマ。様々なアイディアが実地に浮かびます!

● アイディアをまとめるワークショップ

● ヤマグワの葉を摘み取り、即席の桑茶を楽しむワークショップ!

ミシガン州立大学にて(今月のひとこと:10月)

2017-10-01

上原巌理事長が、8月~10月の2か月間、アメリカのミシガン州立大学(Michigan State University:MSU )に短期の客員教授として訪米されています。

MSUは、ミシガン州イーストランシング市にあり、1855年に創立され、アメリカでは初めての州立農学校として誕生した大学です。かの南方熊楠も、その農学校時代に留学をされています。

MSUの広大なキャンパスには、大木が生い茂り、また構内を流れるレッドシーダー川のほとりには、学生たちが憩い、また同大学の学歌では、その木陰や川が登場します。日本の校歌、学歌の情緒性とも共通していますね。

また、MSUに到着した8月21日は、北米では99年ぶりとなる皆既日食の日。ちょうど午後2時半前後から、ミシガンでも皆既日食が観測され、太陽の約70%が月のかげに隠れたそうです。

上原理事長は二ヶ月間、同大学の農学部林学科(Department of Forestry)で、「Forest amenities and forest therapy」という講義と実習を週3回(月、水、金)行っていますが、1966年にミシガン州立大学と東京農業大学との姉妹校協定の締結以来、農大の教員がミシガンで授業・実習を担当するのは、初めてとのことです。

また、9月13日~15日には、ドイツ北部のバルト海に浮かぶ島Usedamで、ヨーロッパで初めての森林と健康の国際会議が開かれました。ヨーロッパ各国から200名余の参加者が集まり、上原理事長はヨーロッパ以外からの唯一の講演者として招待されました。

初日の基調講演に続き、翌日にも異例の追加講演を依頼され、森でのワークショップも行ったとのことです。

また、ドイツ、ヨーロッパでも、「森林療法 Shinrin-ryoho」の名称がかなり根付いていることで、「里山 Satoyama」 のように、「森林療法 Shinrin-ryoho」 もそれぞれのお国柄のもと、正しい形で定着していけばいいですね。

理事長は、10月21日(土)に帰国される予定です。

キハダ(今月のひとこと:9月)

2017-09-01

みなさんは、キハダという樹木を知っていますか?

主に冷温帯に自生するミカン科の樹木です。

キハダの名前は、樹皮を剥くとその内皮が黄色いことに由来しており、その黄色い内皮にベルベリンという物質が含まれ、昔から健胃腸剤として使われてきました。

そして、このキハダの樹皮ですが、実は利用しているのは私たち人間ばかりではありません。野生の動物もまた利用しており、林地を歩くと、野生のシカに樹皮を食べられているキハダに出会うことがあります。彼らは本能でこの樹木の薬効を知っているのですね。あるいは、シカの社会もストレス社会であり、胃腸の弱ったシカが多くなってきているのかも知れません(笑)。

これらもまた、森林のアメニティ、豊かさですね。

秋です。森林で、健康づくりのできる樹木も探してみましょう!

※キハダの人工栽培(畑地栽培)は、長野県が全国に先駆けて始めました。

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