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韓国における森林の保健休養についての国際シンポジュウム(今月のひとこと:2月)
1月28日(木)、韓国・忠清北道・清洲市にある国立忠北大学にて、森林の保健休養についての国際シンポジウムが開かれ、当学会の上原理事長が参加し、講演を行ってきました。
当日の発表内容は、以下の通りです。
- 森林療法とは何か?韓国における可能性(東京農業大学 上原 巌)
- 森林医学 (日本医科大学 李 卿)
- 韓国における森林の保健休養の調査研究(韓国国立森林科学研究所 キム・ジャエジュン)
- ツリークライミング:樹木と人間の驚異の関係(中部大学 ジョン・ギャスライト)
- スウェーデンにおける自然環境が人々に与える影響の調査研究:患者グループの事例研究から (スウェーデン大学 パトリック・グラハム)
- 都市の樹林環境におけるストレス低減効果(アメリカ・イリノイ大学 ウイリアム・サリバン)
アジアでも欧米でも、「自然・森林」「健康増進」「ストレス」などが、大きなキーワードになっていますね。上原理事長は、日本における児童、教員、高齢者、障害者、入院患者など対象とした森林の保健休養事例を報告し、韓国における可能性についても発表してきました。
現在、国内外で様々な森林の保険休養についての研究が行われていますが、絶えず注意しなければいけないことは、
- 数値、数式、グラフなどの表示に無条件に惑わされないこと
- 「似非科学」が大きく混在していること
- 特殊な設定実験から、一般化が導き出され、それをビジネスにしているものもあること
などのことがあげられます。
特に、儒教文化が生活の基盤にあるアジア諸国においては、権威に盲従しがちな傾向があり、これらの注意が特に必要なのではないでしょうか?
本学会では、もちろんこれからも客観的に調査、研究を継続してまいります!
あけましておめでとうございます!(今月のひとこと:1月)
「一年の計は元旦にあり」といわれますが、みなさん、お正月をどのようにお過ごしでしょうか?
また、初夢は、どんな夢でしたか?
2010年4月に発足した本学会は、今年で7年目を迎えます。今年からは、さらに国際的な視野、見地からも活動を広げていきたいと思っています。
今年ももちろん晴天の日ばかりではなく、大雪や吹雪の日もあると思います。
重労働で危険な雪下ろしに打ち込まなければならない日、雪深い山奥で道に迷う日もあることでしょう。
しかしながら、今年も新天地、新道を開拓し、あるいは放置林、放棄地、休閑地、古道に再び息吹を吹き込みながら、森林、そして私たちの心身に新境地をつくっていきたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2016年(平成28年)元旦
年末年始:身近な樹木、森林と自分自身の再発見を!(今月のひとこと:12月)
今年も都市部、郊外、山村と、各地での「身近な樹木、森林」での研修会をおこなってきました。
都市部でも街路を歩くと、エノキ、ムラサキシキブなど、また住宅街の合間の緑地では、クヌギ、マンリョウ、シュロなどのそれぞれ天然更新を観察することができ、たとえ都市部であっても、自然のサイクルがちゃんと働いていることを学ぶことができました。あちこちで薬用植物を見つけたり、都市部の寺社林にはもともとの自然植生が残っていることなども観察したりしてきましたが、時には芳香蒸留水なども作って、樹木の香りも楽しむ機会を持ちました。樹木の香りは、アレロパシー(他感作用)でもあり、他の植物や虫、菌などを防ぐ役割も持っていて、その効果も調べています。
さらに、手入れ不足の人工林やかつての里山の森林整備の活動も行ってきましたが、手入れがなされた森林は、生物多様性を高め、それは私たち人間にとっても、心地よい環境、居場所をつくることにもつながることを実感しています。
年末年始は、クリスマスツリーや門松飾りなど、樹木がシンボルとしても使われますね。樹木と私たち人間は、まさに切っても切れない関係にあります。
そして、私たちは身近な樹木、森林を再発見することは、すなわち自分自身の再発見であることにやがて気づきます。自分の好む森林、好きな森の風景、懐かしい香り、心地よい音などは、すべて自分自身の人生経験をはじめ、感性や心象などの投影、鏡でもあるからです。
今年も1年間、大変お世話になりました。ぜひこの年末年始は、身近な樹木、森林で、自分自身の再発見もしてみてくださいね!
若いお医者さんとの森林での研修会(今月のひとこと:11月)
青森県の研修医のみなさん約100名と初冬の森林散策を行いました。青森県の臨床研修医のワークショップの一環で、主催は青森県です。
私どもの学会としても、これから自分の専門を決めていく前の若手医師の皆さんにもぜひ地域の森林を活用していただきたいと願っているところですが、いざ一緒に歩いてみると、森林、樹木の関心を持つ方が実に多く、とても頼もしく感じました。
同時に、青森県内の総合病院で、森林を活用した各地の病院の事例についての研修会も開きました。とかく大きな誤解をされやすい、「森林療法」と「森林セラピー ®」の違いから説明し、北海道から九州までの地域病院、診療所など、医療機関で取り組んできたこれまでの森林療法、森林活用の事例を報告しました。森林療法にはお金がかからず、医療スタッフご自身の健康維持、メンタルヘルスにもなり、薬用植物や、自然のカウンセリング&治療空間も活用できます。
今回歩いた青森の森林には、かつての木材搬出のトロッコ線路や、吊り橋があり、参加者のみなさんのこれからの医師としての道を象徴しているようにもうかがえました。ご参加いただいたみなさまが、森林の持つ多様性同様に、様々な個性、専門性を持ったお医者さんとして各地でご活躍されていくことをご祈念申し上げます。
身近な樹林の調査:思春期と森林との関係?(今月のひとこと:10月)
世田谷区立駒沢中学より、校内にある緑地の樹木を調べてほしいとの依頼があり、出掛けてきました。同校には、通称「タンチ山」という樹林があり、親しまれています。
実際に出かけて調べてみると、クスノキ、ヤマモモなどの植栽木と、イヌシデ、クヌギ、エノキ、ムクノキ、シラカシなど、世田谷のもともとの植生の樹木が混生していることがわかりました。
この樹林は、主に理科の授業・学習で使われるとのことですが、学びの場であるだけでなく、思春期まっただなかの中学生のみなさんにとって、この樹林が一体どんな存在意義を持つのか、興味のあるところです。
この地で、探検など、また逢瀬の場とするような生徒さんはいるのでしょうか?
身近な樹林は、気分転換の場となるだけでなく、ただそこにあり、四季の変化を見せてくれる、風景としての存在意義(風致効果)を強く持っています。このことは、特に都市部に住んでいる方々にとっては、樹林が伐られ、宅地に造成された後などに、肌で強く感じたことがある方も多いことでしょう。
駒沢中学は、今年で創立70周年。大樹のように、伸び伸びとした中学生の皆さんがこれからも育っていくことを願っています。