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どこかで春が(今月のひとこと:2月)

2015-02-03

これは、東京の奥多摩、標高550m地点でのイロハカエデです。
 
冬芽からすでに新芽が吹き出て、葉を展開させようとしていますね。
 
 
各地の里山では、このように芽吹く準備を整えている落葉広葉樹があちこちに見られ、樹木にとっては、すでに春の支度はもうできていることがうかがえます。
 
しかしながら、一斉に木々がまだ芽吹かないのは、葉の展葉には依然としてやはり寒く、適温、適切な成育開始の条件ではないからです。試しに室内や温室に入れてみると、見事に芽吹く樹木が数多くみられます。
 
 
 
2月。
まだ山深いところでは、雪もまた深く、あたりは白い静寂の世界です。
 
でも、実はこの時期、山の木々たちは新たな芽吹き、成長へのエネルギーをみなぎらせ始めているのですね。

今月のひとこと(1月)

2015-01-01

あけましておめでとうございます!
昨年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

森林には、「美」があります。
森林の風景を眺め、「美しいな」と私たちが思う時、私たちは森林の造形美、色彩美、そして美的要素を感知し、そう思うのですね。
また、森を眺める時、過去の思い出を想起したり、物語を空想したり、擬人化をすることもあります。
ドイツの林学者ザリッシュ(Heinrich von Salisch:1846-1920)は、「森林美学(Forstaesthetik)」という林学体系の一部門を確立したと云われています。

「施業林において経済的な利益を追求することと美しい森林を造ることは基本的に調和する」「施業の誤りは、森林の美的な取り扱いによって防ぐことができる」と彼は考えていました。

そのドイツ林学に学んだ日本の新島善直、村山醸造の二人は、「森林美学とは、美学と森林の風景との関係、森林美と樹木の美的価値、森林美造成の技術的手段であり、森林に関する一切の美的活動を考究すること」と考え、ザリッシュのような施業林の美に限らず、天然林も含めた森林美に対象を広げ、考察しました。

現在では、「機能的にも優れている森林は、デザイン的にも優れている」と評されることもあります。

しかしながら、「美」というものはもともと主観的なものであるため、その美を「科学的」に取り扱うことには大きな困難がありますね。

「美しい」と一言で表現できる森林の中にも一つ一つその要素を考察してみると、色にはじまり、形、光、影、構成、高さ、太さ、多様性、奥行き、音、風、気温、湿度、水、生物群、そして石、土などの無生物にいたるまで、たくさんの要素があります。また、秩序と無秩序の組み合わせから成り立っているのが森林、ともいえます。

けれども、たとえ、科学的に最終的にとらえきることができなくても、やはり森林の美は厳然としてそこにあり、だからこそ絵画、写真、映画、小説、詩、俳句、音楽などに古来より人々はそれを表現してきたのですね。
そして何よりも、森づくりそのものが芸術、アートであるともいえます。

今年はぜひ森林の美を心身でかんがえる一年にしたいと思っております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

日本森林保健学会 事務局

真冬の森林散策(今月のひとこと:12月)

2014-12-01

今年の暦も師走に入りました。
みなさんにとって、今年はどんな1年でしたか?
 
 
さて、年の瀬も迫ったこの時期、森はどんな世界になっているでしょう?
 
答えは、明るい森になっているのです。
 
冬というと、暗い陰鬱としたイメージがありますが、実は落葉広葉樹林では、林冠から葉が落ちたこの季節は、陽光が林床まで射し込み、ぽかぽかと暖かい昼下がりのひとときがつくられているのです。
 
あたたかく、静かな林床に座り、あるいは横臥していると、1年間の時節変化だけでなく、大きな自然の生々流転を感じます。
 
冬の森は、林床まで明るい世界になります。
 
かのディッケンズの「クリスマスキャロル」にも、膝まで落ち葉に埋もれながら歩くことの楽しみが書かれています。
 

冬の森は、木々のシルエットも明瞭になります。
枝を伸ばした木々の歌声に耳を傾けてみてください。
 

そして、葉の落ちたこの季節。
野鳥の巣など、1年間気がつかなかったものを発見することもあります。

森林の国際学会(今月のひとこと:11月)

2014-11-01

森林の国際学会であるIUFRO(International Union of Forest Research Organization)2014がアメリカ・ユタ州のソルトレイク市で開催され、当学会からは上原 巌理事長が参加、発表してきました。

今回の大会では、
(1)Forests for people
(2)Forest biodiversity and ecosystem services
(3)Forests and climate change
(4)Forest and water interactions
(5)Forest biomass and bioenergy
(6)Forests and forest products for a greener future
(7)Forest health in a changing world
の計7つのカテゴリーの分科会が設定されました。さまざまな領域にまたがるユニークな分科会設定ですね。

今回、上原理事長は、「The effects of forest therapy utilizing regional abandoned forests in Japan」のテーマで発表し、放置林と森林療法の組み合わせ、森林と人間双方の健康増進のこころみなどが斬新であるとの評価を受けたとのことです。

大会では計1200もの研究発表があり、世界中で本当にさまざまな調査研究がすすめられています。

「Forests for people」の分科会が国際学会でも設定されたように、森林と人間との関係についての研究はこれからもますます重要になっていくことでしょう。

日本森林保健学会もさらに精進してまいります!

(※ちなみに次回のIUFRO大会は、2019年6月にブラジルのCurtiba市で開催される予定です)

過ごしやすい森林とは?(今月のひとこと:10月)

2014-10-01

お元気ですか?
まわりの山々、森林はすっかり秋めいてきました。

さて、この秋になると、つくづく感じることがあります。
みなさんは、「過ごしやすい森林」「心地よい森林」はどこにあると思いますか?

里山実は、それは里山です。
里山は、かつて薪炭林として、燃料の木材や農業の堆肥を供給する大切な資源であり、わたしたちのなりわいの場でありました。

もともとは天然林、自然林であった場所であり、定期的にその木々を伐採し、伐り株からは再び萌芽をさせて再生する、ということを繰り返してきたところ、それが里山です。

みなさんのお近くにもそんな里山や里山の名残りがありませんか?

里山特有のフカフカの落ち葉の林床も魅力です。

この秋の季節は、つくづく里山こそが私たちの癒しの場であることを再確認できるときでもあります。

かつてわたしたちのなりわいの場でもあった里山。

里山では、くつろぎの空間をつくることもできますよ!

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